
なぜ私は電子楽譜をやめて紙の楽譜に戻ったのか。その理由を説明します。

金久保皆さんこんにちは!かなくぼピアノ教室、講師の金久保です!
皆さんは、電子楽譜を使っていますでしょうか?
電子楽譜は、楽譜をデータ化し、タブレット端末で閲覧する形式を指します。
紙の楽譜は重量があり、持ち運びには不便な一方、電子楽譜は端末さえ持ち運んでいれば無限の楽譜データをいつでも閲覧することができ便利ですよね。
私自身、その利便性に注目して2018年ごろからiPadを購入してその活用方法を模索してきましたが、現在はほとんど学習には使っていないのです。
今回の記事では、なぜ私が8年間にわたって活用してきたiPadによる電子楽譜を使わなくなったのか。その理由について解説してみたいと思います!
電子楽譜で勉強しても、記憶に定着しなかった
結論から言ってしまうと、見出しの通りです。
どうも電子楽譜で勉強していると記憶に定着しにくい気がするのです。


正直、楽譜について直接裏付けるデータは見つけられなかったのですが、電子楽譜で作品を勉強していた時と、紙の楽譜で勉強していた時では、曲に対する理解の深さも、そもそも勉強しようという意欲も全く異なっています…。
その違和感の理由を探る手がかりはないものかと少々調べたのですが、東京大学の研究で、紙・タブレット・スマホに予定を書き留めさせ、1時間後の想起を比較したという事例がありました。
この結果、想起時に海馬、楔前部、視覚野、言語関連の前頭領域が働き、これらの活動は紙の手帳のグループがタブレット・スマホのグループより有意に高かったと報告されています。[1]
この研究は楽譜を用いた結果ではありませんが、この研究を行なった酒井邦嘉教授は、芸術や作曲などの創造的な活動では、デジタルより紙の使用を勧めたいとコメントしているのです。
電子楽譜で楽譜を見ていても、あまり記憶に定着している気がしないというのは、科学的にも何か理由があるのかもしれません。
とにもかくにも、紙の楽譜と電子楽譜とで体感として差があるということで、私は電子楽譜を使わなくなったのです。
紙の楽譜のメリット
そんなこんなで、私は紙の楽譜を使って勉強するのですが、紙にはあり電子にはない魅力やメリットというものが存在することに改めて気づかされることになりました。
メリット①: 目に優しい
紙の楽譜は目に優しいものです。
この点は、学習において非常に重要な要素です。
特に長時間にわたって楽譜を読み解く場面では、この要素が際立ちます。
私の場合、30分を超える大曲を演奏することがあり、長時間の使用では電子楽譜が明らかに不利です。また、私自身が強度の近視であることも関係しているかもしれません。
自ら光を発する電子楽譜は、そんな私には合っていなかったのです。
メリット②: レイアウトが大きく見やすい
紙の楽譜は電子楽譜よりも大きく表示できます。
後で説明しますが、電子楽譜を使う場合、小さいタブレットは使用に耐えません。
少しでも大きく表示したいものです。
しかし、A4や(楽譜の印刷で一般的な)菊倍版の楽譜に比べると、その大きさは紙に劣ります。
私は音符が小さいことで、読譜そのものにストレスを感じるようになってしまい、これもまた大きな電子楽譜離れを生む要因になりました。
メリット③: 鉛筆の書き心地がいい
電子楽譜はiPadの場合Apple Pencilを使います。
これがもう私には全くといっていいほど馴染みませんでした。
思い通りに書けない、レスポンスが遅いなどなど、地味な蓄積が書き込むという行為をストレスにしてしまうのです。
私にはお気に入りの鉛筆(北星鉛筆の大人の鉛筆)があり、これに勝るものはありません。
2Bの鉛筆で楽譜に書き込むという古典的な文化が私は好きです。
デメリットは勉強の質に影響しないものばかり
紙の楽譜にも当然デメリットはあります。
最初にも書きましたが、まず置き場を確保したり、持ち運ぶのに重量があったり、明確に物として存在してしまうことです。
そして紙は経年劣化します。長期保存しているとカビが生えたり、黄ばんだりしますね。
しかし、これらのデメリットについて改めて思うのは、今この瞬間にしている勉強の質にはほとんど影響しないものだということです。
私はこうしたデメリットの解消よりも、勉強の質を重視することにしたのです。
私が電子楽譜を使う例外的なケース
ここまで私自身が感じる紙の優位性についてお話しさせていただきました。
誤解のないようにお伝えしたいのですが、この記事はあくまで私には電子楽譜が合わなかったというだけで、電子楽譜を否定したいわけではないのです。
それにせっかくiPad Air 13インチを持っていることですし、全く使わないわけではありません。
その例外的ケースは学習外での利用です。
具体的には、例えばちょっと曲の内容が気になるという時の「閲覧」です。
閲覧する程度であれば、学習効果を期待するよりも電子楽譜のメリットが生きてきます。
印刷する必要がないし、データは基本的に劣化もしません。
インターネットには無料で閲覧できる楽譜も数多く存在していて、タブレット端末がそれらにダイレクトにアクセスできるメリットもありますから、こうしたケースに限っては、相変わらず私は電子楽譜を使います。
もし電子楽譜用の端末を買うなら、iPad Air 13インチ一択
電子楽譜を使ってみたい、どうすればいいか?という質問は相変わらず多くあるため、その疑問にもここで回答しておきたいと思います。
結論、電子楽譜を使うならiPad Air 13インチ一択になります。そして、スペックも最低限で十分です。
楽譜データは基本的にPDFデータです。楽譜データを溜め込んでいて、容量がパンクすることはほとんどの人には起こり得ません。なので、ストレージは最小の128GBで足ります。
こうした端末を選ぶとき、ストレージ容量は値段を底上げする原因になります。過剰なスペックである必要はありません。できる限りダウンサイジングして、最小の容量を選ぶのが安く済ませるコツです。
また、13インチにこだわる理由ですが、これは少しでも表示サイズを大きくしたいためです。
ある一定のサイズ以下になると、もはや楽譜としては使えないレベルでサイズが小さく感じられます。ここは惜しまず最大のサイズを選んで欲しいところです。
ちなみにiPad Proにも13インチモデルがあり、こちらを使うメリットとしてはFace ID(顔認証)があることです。指紋認証だとロック解除が面倒くさい…と感じる方はこちらにしてもいいかもしれません。
まとめ
今回は、私が電子楽譜をやめて紙の楽譜に戻った理由についてお話ししました。
8年間にわたってiPadで電子楽譜を活用してきましたが、紙の楽譜にしかない優位性に惹かれ、私は紙の楽譜に回帰しました。
私が感じている紙の楽譜の優位性は、次のとおりです。
- 記憶に定着しやすい(研究でも紙の優位性が示唆されている)
- 目に優しく、長時間の読譜でも疲れにくい
- レイアウトが大きく、音符が見やすい
- 鉛筆で思い通りに書き込める
とはいえ、私は電子楽譜を否定したいわけではありません。あくまで私には合わなかったというだけで、楽譜をちょっと「閲覧」したい場面などでは、今でも電子楽譜を活用しています。
もしこれから電子楽譜を使ってみたいという方は、iPad Air 13インチ一択です。ストレージは最小の128GBで十分なので、その分、画面の大きさは惜しまず選んでくださいね。
皆さんも、ご自身に合った楽譜との付き合い方を見つけてみてください!
参考文献
[1] Umejima et al. (2021), Frontiers in Behavioral Neuroscience, doi:10.3389/fnbeh.2021.634158










