大人のピアノ初心者にとってハノンは難しい?
皆さん、こんにちは!かなくぼピアノ教室 講師の金久保亮佑です!
大人のピアノ初心者がピアノに取り組むにあたって、基礎練習はどのように取り組んだら良いだろう?と悩む方もいらっしゃるでしょう。
そこで必ずといっていいほど名前が上がってくるのはハノンです。
原題は60の練習曲によるヴィルトゥオーゾ・ピアニストといいます。
その名の通り60の練習曲(エクササイズ)から構成される教本で、その内容は指の運動、トレーニングに特化した内容になっています。
ピアノを弾いたことがある人なら一度は取り組んだことがある、というくらいには有名な教本のため、ピアノを弾いたことがない人でもそのタイトルや内容について知っているという方も多いでしょう。
しかし、特にピアノを再開したての大人の方や、まったくの初心者という方には決しておすすめできません。
今回はそんなハノンは意外と難しいというお話です。
(※2024年2月16日追記 この記事に関連したYouTube動画をアップしました。)
目次
ハノンの目的
ハノンを弾く目的とは、そもそもどのようなものでしょうか?
ハノンにはこのようなまえがきが書いてあります。
5本の指をみな平均して訓練すれば、ピアノのために書かれた曲は何でもひく事が可能になるはずです。残る問題は指づかいだけとなり、これはまた、たやすくかたづきます。そこで目標を次のように決めます。
全訳ハノンピアノ教本
- 指を動きやすくすること
- 指をそれぞれ独立させること
- 指の力をつけること
- つぶをそろえること
- 手首を柔らかくすること。
- よい演奏に必要な特別な練習を全部入れること。
- 左手が右手と同じように自由になること。
このように、ハノンは指の運動や機能向上を目的とした内容であることがわかります。
ハノンは誰が弾くことを想定している?
長期間ブランクがある大人の方や、全くの初心者の方にとっては、ハノンはいきなり過酷な筋トレに挑むようなものです。
その理由としては、まず2段の譜面は当たり前に読めることが前提になっていること。
音階やアルペジオはすべての調で弾けることを目指していますし、リズムの変更も各自工夫するよう求められています。
そうしたアイディアは楽譜が自由に読めないと、非常にストレスを感じるでしょう。
もう一つの理由は、一つ一つのエクササイズが長いことです。
収録されているエクササイズの殆どはページをひとつまるまる使っていたり、見開き2ページフルに使っているものもあります。
また、音階やアルペジオは3~4オクターブの音域にまたがって練習するよう求められています。
こうしたエクササイズにいきなり取り組むと息切れを起こしてしまいます。
ハノンは素晴らしい教本ですが、おおむね指を動かす習慣が身についていたり、楽譜の読み書きに不自由が少ない中級者レベルの方が取り組む教本です。
ハノンの想定した目的を達成するには、まずハノン以前の基礎を身につけることが大切です。
ハノンに取り組む前に身に着けたい技術
ハノンに取り組むには、まず2段の楽譜に慣れることです。
また、ハノンよりもシンプルなエクササイズを弾けるようになっておく必要があります。
こうしたテクニックの習得を目的とした教本を選び、慎重かつ丁寧に進めていくことが大切です。
おすすめ教本
実は、ハノンの一歩手前という方向けの教本は数多く出版されています。
特徴を押さえつつ、いくつかおすすめの教本を紹介しましょう。
おとなのハノン ~指の動きをよくするピアノ・トレーニング・ブック~
おとなのハノンは、文字通り大人のピアノ学習者向けに書かれた教本です。
大人の指の機能を考慮して書かれていますし、楽譜に不慣れな方でも取り組みやすいよう、導入から工夫されています。
また、ハノンに比べてリズムの変奏パターンや指使いなど、記載が丁寧です。
大人からピアノを始める初心者の方には少々難しいですが、子供の頃ピアノを習った経験がある方にはおすすめです。
プレ・ハノン スケール&アルペジオ<新標準版>
プレ・ハノンは、その名の通りハノンの導入、特に音階とアルペジオに特化した内容になっています。
ハノンの中でも音階とアルペジオの練習曲(39番以降)は極めて重要です。
しかし、ハノンは4オクターブに渡って音階を弾くことを求められていたり、決してすぐには取り組みやすい内容とは言えません。
そういった困難に配慮して、この教本では音階を6つのステップに、アルペジオは3つのステップに分けて取り組みやすいよう工夫されています。
こちらの教本も、脱初心者を目指す学習者の方におすすめです。
まったくの初心者におすすめの教本は?
ここで紹介した2冊の教本は、まったくの初心者には難しいと説明してきました。
では他に教本がないのか?と言われますと、ハノンの導入という意味では今すぐ取り組まなければならないものはありません。
ハノンの目的は指の運動や機能向上です。
それよりも初心者にとって大切なことは、基本的な楽譜の読み方を身につけることです。
ハノンはとても有名で優れた教本です。
しかしその優れた内容を読み解くには最低限楽譜を読める必要があります。
まずは焦らず、音楽の最も基本的な部分を丁寧に学んでください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ハノンはいわゆる基礎としてとても有名で優れた内容をもつ教本ですが、ピアノに取り組み始める初心者の方には少々難しいということを説明しました。
初心者やピアノを改めて再開する大人の方は、より平易な教本でトレーニングをするのがおすすめです。
しかし、まったくの初心者という方であれば、今はハノンについて考える必要はありません。
まずは楽譜の基本的な読み方を身につけるところからです。
基礎について悩みがある方は、自分についている先生に気軽に相談しましょう!
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