ピアノの指遣いは自分で決めるもの。でも「決め方」は先生から教わってください。

ピアノを弾く手元と「指遣いは自分で決めるもの。でも『決め方』は先生から教わってください。 KANAKUBO PIANO SCHOOL」というテキストが記載されたアイキャッチ画像
金久保

皆さんこんにちは!
かなくぼピアノ教室、講師の金久保です。

皆さんはピアノを弾いていると、「指遣いは、自分で決めるものですよ」と言われることがあるのではないでしょうか?

これはもちろん正しいです。

楽譜に書かれた指番号は、あくまで校訂者の提案です。手の大きさも、指の長さも、その曲をどう歌い上げたいかも人によって違います。
最終的に自分の手に合う指遣いは、自分で決めるしかありません。

ただ、指遣いを自分で決めるには、相当な技術がいるのです。

今回は、なぜ「決める」ことがそんなに難しいのか、そして最初のうちはどうすればいいのかをお話しします。

目次

指遣いを「決める」とき、頭の中で何が起きているか

先生が楽譜を見て、さらっと指番号を書き込んでいく。
その姿を見て「経験があるから感覚で分かるんだろう」と思っていませんか?

実は、感覚ではありません
頭の中では、かなりの量の判断が同時に走っています。

たとえば、ある一音の指を決めるだけでも、私はこんなことを考えています。

  • この音の数小節先で、手はどこにいなければならないか
  • 手の移動を、いちばん少ない回数で済ませる道筋はどれか
  • フレーズの切れ目と、手のポジション移動が重なっているか
  • 強く弾きたい音に、強い指が来ているか
  • 黒鍵に長い指、白鍵に親指という手の形に沿っているか
  • 速くなったときに、その指遣いのまま楽に弾けるか

つまり指遣いは、「今の一音」ではなく「これから先の何小節か」を見て決めるものです。

数手先を読む囲碁や将棋に近いかもしれません。(ちなみに私は囲碁は結構強い方です。)

このとき厄介なのは、目の前の一音だけを見て決めた指遣いは、その場では弾けてしまうことです。問題はテンポを上げたときです。

そこから指遣いを変えるのは、最初に正しく決めるより何倍も時間がかかります
指はすでに、間違った道筋を脳の深くまで染み込ませてしまっているからです。

ピンクや黄色などのマーカーでハイライトが引かれたピアノの楽譜

だから最初は、先生に教わってほしい

以前の記事で、早い段階での「指遣いの固定」を推奨しました。最初の段階で指遣いが定まっていないと、その後の練習がすべて積み上がらないからです。

その大事な最初の一手を、まだ判断の材料が揃っていない段階でひとりで決めなければならない。
これはかなり大変なことです。

ですから、始めたばかりの方や、久しぶりに再開した方には、
まず先生に指遣いを決めてもらうことをおすすめします。

これは「自分で考えなくていい」という話ではありません。
むしろ逆で、自分で決められるようになるための、いちばんの近道だと私は考えています。

答えではなく「思考回路」を取り入れる

ここが今日いちばんお伝えしたいことです。

ポイント

先生に指遣いを教わるとき、指番号だけを受け取って終わりにしないでください。
一緒に受け取ってほしいのは、なぜその指なのかという理由のほうです。

  • 「ここで親指をくぐらせておくと、次の小節で手を動かさずに済むから」
  • 「この音は強く弾きたいから、小指ではなく薬指を使いたい」
  • 「ここはフレーズが切れるので、ポジションを移動するならこのタイミング」

理由を聞いたからといって、すぐに先生と同じ判断ができるようにはなりません。それでOKです。

ただ、こうした理由を何曲分も聞いていくと、皆さんの中に少しずつ「判断の基準」が溜まっていきます。

すると、あるときから楽譜を見て「ここは指が足りなくなりそうだな」と、先に気づけるようになる。
次に「じゃあ、ここで移動しておこう」と自分で手を打てるようになる。

これが、指遣いを自分で決める技術が身についていく過程です。

先生の答えを暗記するのではなく、先生の思考回路を少しずつ自分のものにしていく。私はそれを、レッスンの中で極めて重要視しています。

かなくぼピアノ教室では「指遣い」だけのレッスンをしています

当教室には、通常のレッスンとは別に「指遣い特化レッスン」という枠があります。
50分かけて、いま取り組んでいる曲の指遣いを一緒に決めていくレッスンです。

わざわざ独立したレッスンにしているのは、それだけ指遣いを決める技術を重視しているからです。ここが定まると、その後の練習の効率がまるで変わります

こんな方に向いています。

  • 新しい曲を始めたばかりで、最初の一歩をきちんと整えたい方
  • 楽譜の指番号が自分の手に合わない気がしているけれど、どう変えればいいか分からない方
  • ある箇所だけどうしても指が回らず、指遣いが原因かもしれないと感じている方

もちろん、指番号を渡して終わりではなく、「なぜそうするのか」を毎回言葉で説明します。回数を重ねるうちに、皆さんご自身で決められる場面が増えていくはずです。

まとめ

  • 指遣いは、最終的には自分で決めるもの。これは正しい
  • ただし「決める」には、先の小節まで読んで判断する技術がいる
  • 最初は先生に決めてもらうのが、遠回りに見えていちばんの近道
  • 受け取るのは指番号ではなく「なぜその指か」という理由
  • 理由が溜まってくると、だんだん自分で決められるようになる

指遣いは、譜読みの一部というより、演奏を楽にするための準備そのものです。ここを丁寧に扱うことで、大人のピアノはぐっと続けやすくなります。

指使い特化レッスンのご案内

指遣い特化レッスンの詳細は、レッスン案内のページに掲載しています。
「この曲の指遣いを一緒に決めてほしい」というご相談だけでも歓迎です。

▼レッスン案内はこちら

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この記事を書いた人

大人のピアノ教室「かなくぼピアノ教室」講師。理系大学院を卒業→就職→退職してピアノ講師に。社会人経験を生かして、大人の方向けにピアノ教室を運営しています。

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